生贄投票
ホームルームが終わり、藤本が出て行くと、環奈が立ち上がり、出て行こうとする。


「ちょっと待って環奈」


怜が呼び止めた。


「アタシ……エルゴンのとこに行くよ」


「何言ってるのよ!」


「だって……このままじゃ、柴田くんが警察に捕まって、エルゴンのノルマがクリア出来ないから……」


「だからって……他に方法を考えよう。じゃなきゃ環奈」
「無理だよ!」


ずっとみんなに配慮して、抑えていた環奈の気持ちが爆発した。


「他に方法なんかあるわけないじゃん!」


我慢していたのに、涙ぐんでしまう。


クラスの中に、重い空気が流れた。
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