生贄投票
「それで、柴田くんに連絡が取りたいのよ。アタシのスマホに登録している柴田康介っていう電話番号教えて」


『ああ、うん。分かった』


孝史はすぐに調べて、教えてくれた。


環奈はすぐに康介の番号を打ち込んで、そしてふと思った。


康介に対して、お互いの電話番号を交換して以来、メールは何度かあるけど、電話をしたことは一度もない。


環奈は一度深呼吸をしてから、発信ボタンを押した。


『もしもし』


すぐに康介が出る。


「柴田くん。今どこ?」


『もうすぐ家に着くとこだけど』


「え? もう着くの?」


『だって俺んち、学校から10分もかからないくらいのとこだもん』


「そっか」


初めての電話越しの会話に、環奈は今置かれている状況を忘れて、何だかドキドキしていた。
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