生贄投票
「で、色々あったって何があったの?」


康介が眉を寄せる。


「うん……。あのさぁ、学校サボってるし、人目もあるから、柴田くんちに行ってからにしよう」


環奈は周囲を気にしながら答えた。


「ああ、うん。じゃあ行こうか」


康介は先に歩き始める。ずっと片想いだった入山環奈がうちに来るのだ。

それは康介にとっては、夢のようなことだった。


男なら誰だって、大好きな子がうちに来るとなったら、もしかしたら……なんて邪まなことを期待するものである。


とはいえ、環奈が来るのは、今自分が持っているエルゴンのスマートホンのことに決まっているだろうから、淡い期待はしないほうがいい。


康介はタップを続けながら、そう思った。
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