生贄投票
「有り難う」


リビングのソファに座って、落ち着きなくテレビをボーっと眺めながら、エルゴンのと自分のを、両手で同時にタップし続けていると、環奈がお風呂から出て声をかけてくる。


「ああ、うん」


「ねぇ、柴田くんもシャワー浴びてきてくれない?」


「え? 何で?」


「どうしても……ねぇ、お願い」


「わ、分かったよ」


分かったと言ったものの、何だかよく分からないまま、康介は脱衣場に向かった。


自分が帰った後で、いったい何があったのか?

それさえ教えてくれないまま、順番にシャワーを浴びるのは、いったい何の意味があるのだろう?


色々と聞きたいことはあるけど、康介はとりあえず浴室に入ると、シャワーを浴びて身体を洗い始める。

濡れているナイロンタオルを手にしたとき、このタオルで環奈が身体を洗ったのかと思ったら、思わず匂いをかいでしまった。
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