生贄投票
父親が頑張って新築の家を建ててくれてから三年間、自分以外の誰かが眠ったことのないベッドの上で、ずっと大好きだった女の子が眠っている。

それも全裸で……。


投票で選ばれて以降、おそらくほとんど眠れなかったのだろう。


行為の後もずっと抱きしめていたら、環奈はスースーと静かな寝息を立て始めたのである。


康介はそんな環奈の寝顔を、ずっと微笑ましく見つめていた。


今でも信じられない。ずっと大好きだった環奈と、交際期間を経ることなく、いきなりエッチをしてしまったのだ。


今日ほど生きてて良かったと思った日はない。


ただ……このまま彼女を、ずっと自分一人だけのモノにしたいのに、この後彼女は、エルゴンに抱かれるのだ。


絶対にそんなことは許せないし、阻止しなければならないけど、今更どんなに頑張ったって、お昼までに10万回は、まず不可能である。

環奈の寝顔を見ながら、康介は悔しくて、そして苦しかった。
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