生贄投票
何が悲しくて、大好きな彼女を、他の男に抱かさせなくてはならないのだ。


本当に玉森修太には感謝である。


エルゴンが示したリミットは正午。

エルゴンとは小学校から学区が同じだから、自宅を知っていて、ここから10分もかからない。


ギリギリまで環奈を寝かせておいてやろう……。いや、俺一人で返しにいけばいいのか。


康介は自分の部屋に戻ると、もう一度脱ぎ散らかしている服を着ることにした。


「んぅぅ~」


音を立てないように気をつけていたのに、環奈が目を覚まして起き上がろうとする。


「もう少し寝てなよ」


「ぅん。でも、エルゴンのとこに行かなくちゃならないから」


環奈は辛そうな顔をした。


「それなんだけどさぁ、タマがボットって言うのを作ってくれたおかげで、返しに行くだけでよくなったんだ」


「えっ、どういうこと?」


意味はよく分からないけど、どうやら事態が好転したっぽい。

環奈は身を乗り出した。
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