生贄投票
自宅を出て歩き始めた二人は、いつの間にか自然と手を繋いでいた。


「タマが頑張って、入山のスマホにもボットっていうのを設置してくれればなぁ……」


「うん。それが出来たら、毎週生贄に選ばれても、余裕なんだけどなぁ」


「イケそう? 100万回」


「うん。家族が協力してくれてるから、何とかなるかも」


「絶対クリアしてくれよ。俺に出来ることは何でもするからさ」


「うん」


「入山が死んじゃったら、俺も生きてられないからさ」


「有り難う……。ねぇ」


「ん?」


「名前なんだけど」


「名前?」


「うん。名字じゃなくてさぁ、名前で呼んで」


「あ、うん。カンナ」


「うん」


環奈は満面の笑みで微笑んだ。
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