生贄投票
「ちょ、いいのかオマエ、俺がタップしなきゃ、その女は死ぬかもしれないんだぞ」


意外な康介の対応に、エルゴンは慌てた。


「何言ってるのオマエ? そういうことは、オマエの懇願場を見てから言えや」


「えっ……懇願場?」


「ああ、みんなが一生懸命タップをしてる懇願場だよ」


「まさかもう10万回タップしたんじゃねぇだろうなぁ」


エルゴンは慌てて懇願場を起動する。


「行こうぜカンナ」


康介は振り返ると、環奈の肩を抱いて歩き始めた。


懇願場の画面になり、巌は画面を見つめる。


「な……」


誰もタップしていないのに、カウントがドンドン進んでいた。
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