生贄投票
職員室に戻ると、生徒名簿を取り出して、高橋明里の電話番号を探す。


すぐ隣で茂木栞が覗き込んでくるから、やりづらくて仕方なかった。


電話をかけると、すぐに相手が出る。


『明里! 明里なの?』


「えっ、い、いえ、私は明里さんの担任の藤本と申します」


『えっ、先生が何で?』


「いえ、あの、明里さんが登校してきていないので、ご連絡を……」


『あ、ああ、それが……朝起きたら明里がどこにもいなくて……』


明里の母親らしき電話の相手が、泣きそうな声で訴えかけてきた。
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