生贄投票
「朝起きたらですか?」


『はい。昨夜寝る前までは確かにいたのに……』


「どこかに出かけてるってことでしょうか?」


『ええ、靴と携帯電話がなくなってます。でも、いつ出て行ったのかしら』


「警察に連絡はされましたか?」


『いえ、まだです』


「そうですか。とりあえず今日は欠席の扱いにさせて頂きますので、何かありましたら学校までご連絡ください。それでは失礼いたします」


話が長引きそうなので、藤本はさっさと電話を切った。


「先生、アカリは?」


すぐに茂木栞が聞いてくる。


「昨夜寝るまではいたらしいんだが、朝起きたらいなくなってたって」


「そんな……」


栞はその場にへたり込んでしまった。
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