生贄投票
それに対して、誰も反論をしない。


「あんなに仲良かったじゃない。二階堂先生が死んじゃって、なんだか変な感じになっちゃったけど、一学期の頃はみんなあんなに仲が良かったじゃない」


美奈都の目に涙が溢れてきた。


「もう止めようよ。誰か一人を選ぶためにこんなふうにするの」


美奈都は唇を噛み締める。


「じゃあどうするんだよ? どうやったって、毎週誰かを選ばなきゃならねぇんだぞ」


佐伯雅治が腕組みをしたまま口を開いた。


「ひとつ思いついたことがあるんだけど……」


美奈都は手の甲で涙を拭った。
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