生贄投票
「それは何だ?」


佐伯雅治が聞く。


「どうせみんな死んじゃうなら、試してみたいことがあるんだけど」


「だから何だってば」


「同票にするのよ」


「同票?」


雅治は眉をしかめた。


「そう同票」


「それって得票数が同じってこと?」


岡田奈菜が口を開く。


「そう。みんなそれぞれ自分の次の出席番号の人に投票するの。そうすれば全員が一票ずつで同票になるでしょ」


「それはそうだけど、大丈夫なの? 全員が生贄になるってことはないの?」


「それは分からないよ。同票のときのことは、確か何も書いてなかったと思うもの。

でも、いづれみんな生贄になって死んじゃうなら、試してみたらどうかなって思ったんだけど……」


美奈都は涙を拭いながら、全員の顔をゆっくりと見回した。
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