生贄投票
「みんな死にたくないんだよ。でも、遅かれ早かれどのみち近いうちに死ぬんだったら、思い残さないように言えばいいじゃねぇか」


「そんな」


「もしかしたら残された時間で、そいつと付き合えるかもしれないだろ」


「その短い時間って、もし美奈都が言う方法で全員が生贄に選ばれたら、一週間ってことだよね?」


「まぁ、そうなるけどな」


「だったら意味ないじゃん」


「そうかな? どのみち投票から逃げられないんだったら、何もしないで死ぬのを待つより、たとえ告ってフラれても、その方が絶対マシだと俺は思うけど」


彩奈には晃司の言うことは十分に理解出来る。


普段なら確かにその通りだと思うだろう。


でも今は、とてもそれを素直に受け入れることが出来なかった。
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