生贄投票

放課後、茂木栞は一人で明里の自宅に向かった。


あんなに仲が良いのに、一度も明里の自宅に行ったことはない。


普段降りない駅で電車を降りると、スマートホンの地図を見ながら、明里の自宅を目指す。


駅から歩いて１５分ほどで、目的の場所に着いた。


高橋と書かれた表札のある、純和風の家。


明里から純和風のイメージが浮かばないから、栞にとっては意外だった。


何だかお金を持っていそうな佇まいの家。


市営の公団住宅に住んでいる栞は、益々いつもの明里とかけ離れた感じの建物に、インターホンのボタンを押すのを、一瞬ためらった。