生贄投票
そのときドアが開いて、担任の藤本が入ってくる。


「違うよアム。信じて」


「おい、静かにしろ! ほら、席について」


「ねぇアム!」


「おい今治! 聞こえなかったのか?」


みんな自分の席に着き、視線をこちらに向けてくれない。

亜夢も美奈都の方を向くことなく、教壇の藤本の方を向いている。


「とにかく、次の投票までに真犯人を連れてこなきゃ、俺はオマエらに投票するからな」


晃司はそう吐き捨てると、自分の席に戻った。


まさかこんな展開になるなんて……


美奈都は死にたくなるほど辛くて、声を殺して泣いた。
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