生贄投票
ホームルームが終わり、藤本が教室から出て行く。


美奈都はすぐに亜夢のもとに向かった。


「ねぇアム。信じて」


それに対して亜夢は、視線を正面に向けたまま、美奈都の方を見ようとしない。


「ねぇアム。私たち親友でしょ?」


美奈都は亜夢の正面に回り、亜夢の目を見て訴えかけた。


「親友?」


亜夢が冷めた目で見つめてくる。


「うん。そうだよ」


「親友ってさぁ、隠し事とかしない間柄のことを言うんじゃないの?」


「えっ……そ、それはそうだけど」


「ワタシ。あんたが二階堂とメールやLineやってたなんて聞いてないよ。葬式に行ったことも」


「それはだって」


「悪いけど、アンタの言うことなんか信じられないから」


亜夢は冷めた口調でそう言うと、席を立ち教室から出て行く。


美奈都はただ、それを見送ることしか出来なかった。
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