生贄投票
丁度一時間目の授業の教師の今井が入ってきて、女生徒に掴みかかる男子生徒を見て慌てる。


「何やってんだオマエは!」


今井に怒鳴られた将也は、涼花の身体を突き飛ばし、涼花はそのまま後ろに転倒した。


「おい、オマエ! 何てことするんだ! おい大丈夫か?」


今井は将也に怒鳴った後で、涼花を心配した。


「痛っ……先生、腕が痛いんで、保健室に行ってきていいですか」


涼花は身体を起こしながら、顔をしかめて今井に言った。


「ああ、分かった。一人で大丈夫か?」


「はい」


涼花は今井に向かって頷く。


「アヤナ! アンタ女の子に暴力ふるう男なんかと付き合うの、ヤメた方がいいんじゃないの!」


「何だと!」


森川彩奈に向かって涼花が叫ぶと、すぐに将也が怒鳴り返してきた。


涼花はそれを無視して、そのまま教室を出る。


もちろん保健室に行くと言ったのは嘘で、涼花はそのまま荷物も持たずに、学校を後にした。
< 480 / 827 >

この作品をシェア

pagetop