生贄投票
「警察に行ったからって、すぐに逮捕とはならないだろ」


「えっ、そうなの?」


美奈都が驚いて聞き返す。


「当たり前だろ。すでに自殺で片づけてる事件なんだぞ。怪しいだけじゃ警察は動かないし、もし動いてくれたとしても容疑者を逮捕するためには、裁判所に令状を取らなきゃならないし、そうなるとまずは、伊藤に話を聞きに行くことになるだろ」


「うん」


美奈都は頷いた。


「警察が来たってことになると、当然警戒される。そうなると証拠を隠滅しかねない」


「そうだね」


「だから……一日だけ待ってもらえませんか?」


修太はありさの母に向かって申し出た。
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