生贄投票
「何ニコニコしてんだ?」


作業を開始してから、隣でずっとニコニコしている美奈都に向かって、修太が声をかける。


「な、何よ?」


「いや、なんか嬉しそうだから」


「そ、そんなことないよ」


「そうか?」


「うん」


「まあいいけど」


修太はまた作業に戻った。


美奈都はそんな修太の横顔を見ながら、自然とまたニコニコしている。


さっきまでは涼花がいて、美奈都より先に涼花が口をはさむことが多かったから、自分で気づかないところで、ずっとヤキモチを焼いていたのだけど、今は二人きりだから、修太のことを独占できているのが嬉しかったのだ。
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