生贄投票
「青春してるだろ」


伊藤がニヤニヤしながら、再生を停めた。


「田野の呼びかけで、菊川たちがここに来る予定だったんだが」


「だった?」


「今田野に電話をしたからな、もしかしたら田野から、中止の電話が菊川に入ってるかもしれない。そうなると俺も予定が狂っちゃうから、さっきの電話は失敗だったかもしれないなぁ」


伊藤はそう言いながらも、残念そうな素振りは見せない。


「でもまだ田野のヤツ、誰にも電話してないな。何でだと思う?」


パソコンの画面を見た後で、伊藤が振り向いて質問した。


「知らねぇよ」


「正解は、今田野のスマートホンは、使えなくなってるからだよ。まぁ、これくらいのことは、オマエだって簡単に出来るんだろ?」


伊藤はまたニヤニヤした。
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