生贄投票
「ねぇ、カノンはどうしたの?」


美奈都は未だに見つかっていない岩田華音が気になって聞いた。


「カノン?」


「岩田さんだよ。岩田華音」


「ああ、岩田か。アイツならこの家の裏に穴を掘って埋めてある」


「やっぱりカノンも……」


「実はなぁ今治、岩田と高橋は同じ日に呼び出して殺したんだが、当初死体は二人とも、見つからないように埋めてやろうかと思ってたんだよ。

だけど、生贄イコール死っていうのを、再度オマエらに知らしめるために、リスクを覚悟で、あえて見つかるように一人だけ放置することにしたんだ。

それで、高橋の死体の方が、事故に見せかけやすかったから、橋の上から多田川の河原に落としたのさ」


「ヒドイ……」


「クッ、クッ、クッ、何がヒドイんだ? 先に喧嘩を売ってきたのは、オマエらの方じゃないか。オマエらが俺の人生を滅茶苦茶にしなけりゃ、こんなことにはならなかったんだ」


ニヤニヤしていた伊藤が、真顔になって美奈都を睨んだ。
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