生贄投票
「それは……」


そう言われてしまえば、確かにこの一連の事件は、すべて自分たちが招いたことなのだ。


「でもなぁ今治、俺だって優しいところもあるんだぞ」


「え?」


「近いうちにオマエがここに来ることになるだろうと思って、オマエの親友の大島を埋めずにおいてやったんだから」


伊藤がニヤリと笑う。


「ふざけないでよ!」


美奈都は心の底から怒りに震えた。


「ふざけてなんかないさ。オマエだって死ぬ前に親友に会えて嬉しかっただろ?」


「生きてるリョーコなら嬉しいけど、こんなに苦しそうな顔で死んでるリョーコを見て、嬉しいわけないでしょ!」


また涙が溢れてくる。


「まぁ、すぐに仲良くあの世に行けるから、楽しみに待ってな」


伊藤はまたニヤニヤした。
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