生贄投票
「さてと……菊川たちはどこまで来たかな」


伊藤は嬉しそうにパソコンを操作する。


「おお、早いな。もうその先の麓まで来てるぞ。ヤバイヤバイ。支度しなきゃな」


伊藤は一度部屋から出ていくと、タオルを持って帰ってきた。


「こんなことするより、殺しちゃったほうが楽なんだけど、まぁオマエには写真を加工されたりした恨みがあるからな、たっぷり痛めつけるまでは、殺すのは惜しい」


そう言いながら、伊藤は猿轡をかまそうとする。


「その前に一つだけ教えてくれ」


「何だ?」


「何で今治だけ生贄投票者の一覧に名前がないんだ?」


「それは俺にも分からねぇよ」


「えっ?」


伊藤はまたニヤニヤした。
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