生贄投票


「さぁ来たぞ」


伊藤は嬉しそうな顔でパソコンを操作する。


「よし、これで服部のスマホは、もう使えなくなったぞ。5分後アイツは慌てるだろうなぁ」


一々修太に向かって勝ち誇るように言う。


修太は悔しくてたまらなかったけど、身体を縛られているので、どうすることも出来なかった。


伊藤が部屋から出て、扉を閉められたから、真っ暗になってしまった。


失敗した。まさか全員のスマホを自由自在に操作出来るようになっているとは……。


落ち着いて考えれば、確かにその通りで、もし自分が生贄投票をさせる立場だったなら、ちゃんと懇願しているかどうかなんて、カメラのレンズを使えば監視出来ただろうし、

マイクから音声を拾うことだって可能なのだから、常にスマホを身の回りに置いているみんなの状況を監視してコントロールすることは、そう難しいことじゃなかっただろう。


悔やんでも悔やみきれなかった。
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