生贄投票
「もう止めようよ! こういうの止めよう!」


美奈都が大きな声を出した。


「何よ。今更良い子ぶらないでよ!」


美姫が睨む。


「だってこんなんじゃ、みんなバラバラになっちゃう」


「もうとっくの昔にバラバラでしょ?」


「そんな……」


美奈都は悲しくて涙が出そうになった。


「いいわよねアンタは、投票されるメンバーに名前がないんだから」


美姫が皮肉を言う。


そう言われてしまうと、何も言えなくなってしまう。


「おい、何で生贄投票が来たんだ?」


すでに揉めていることを知らない修太が、遅刻ギリギリで教室に入って来た。
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