生贄投票
「ミナト」


教室に入ると、珍しく涼花の方が先に来ていた。


「おはよう」


美奈都はすぐに笑顔を作る。


「そんな死にそうな顔すんなよ」


涼花がニヤッと笑った。


「えっ」


「心配しなくても大丈夫だってば」


「うん。そうだよね?」


「どうせ選ばれるのは、アタシだから」


「え?」


「たぶんね」


また涼花はニヤッと笑う。


こういうジョークを言える涼花を、美奈都はすごいなぁと思った。
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