生贄投票
「松井くん。みんなに内緒で二人きりになれないかな?」


「え?」


三時間目の授業が終わってすぐに、香川怜が小声で話しかけてきた。


「松井くんにお願いがあるんだけど、ちょっとみんなには知られたくないの? 今からちょっといい?」


「あ、ああ、うん」


怜がそのまま教室から出て行くので、松井亮平はすぐに後を追いかけた。


怜はそのまま階段をあがり、屋上に出る扉の前で立ち止まる。


普段屋上への扉には鍵がかかっているから、ここに来る者は誰もいないのだ。
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