生贄投票
「アタシは止めない。みんなが言ってる四月になったらっていうのも、あくまでも希望的観測じゃん。実際には全員死ぬまで助からないかもしれないし、最後はこの9人で殺し合いになるかもしれない。だったら最後くらい心残りがないように、自分の思うようにするべきだと思う」


「涼花……」


「それでもまぁ、一日でも長く生きていたいからさぁ、この先どうなるか分からないけどみんなよろしくな」


「おいおい、オマエ本当にキャラ変わったよな」


俊明が涼花にむかって笑いながら言った。


「彩奈、今日は本当に有難う。最高の思い出になったよ」


「怜ちゃん……」


「私は警察に捕まっちゃうから、みんなとはもう会えないかもしれないけど、本当に有難う……え?」


怜に向かって涼花が手を差し出している。


「何……涼花?」


「スマホ……出せよ。警察に捕まったら、スマホいじれないでしょ。そしたら自薦立候補になっちゃうじゃん。だからアタシが代わりに投票しとくから」


「涼花有難う……。でも、いいの。私は早く晃司の元に逝きたいから」


怜は寂しそうに笑った。
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