生贄投票
突然ノックの音がしたので、涼花は慌てて身体を離す。


「ひゃい」


慌てているから返事の声が裏返った。


ドアが開いて入って来たのは美奈都だった。


「あっ、もしかしてお邪魔だった?」


「えっ、そ、そ、そんなことないよ」


涼花は慌てながら身体をパンパンはたいている。


「っていうか、キスしてたでしょ?」


「はひ? んにゃ、全然全然全然」


美奈都は冗談で言ったのに、どうやら図星だったらしい。


「ごめんごめん。すぐに帰るから」


「いや、何言ってんだよバカ。全然そんなんじゃないって言ってるだろ」


涼花は子供みたいに、真っ赤になって否定した。
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