生贄投票
「そうだぞ今治、確かにキスはしてたけど、全然お邪魔だなんて思ってないから、それより来てくれてアリガトな」


「ちょーーーー! 何でわざわざバラす必要があるんだよ!」


涼花が責める。


「別に良いじゃん。隠すことでもないだろ?」


「あのなぁ、ミナトはタマオが死んじゃって、そういうことが出来なくなったんだからさぁ、そういうのがデリカシーがないって言うんだよ!」


「まぁまぁ、怒らないで涼花」


美奈都はとても微笑ましくて、涼花のことを可愛いと思った。


「いや、別に怒ってはないけど」


「じゃあ良いじゃん」


俊明がニヤッと笑う。


「そういうのがムカつくんだって」


涼花が口を尖らせる。


「ああいいなぁ~。私もタマ子が生きてたらなぁ……」


美奈都としては、場を和ませる為の冗談のつもりで言ったのだが、この後ものすごく気まずい空気になってしまった。
< 787 / 827 >

この作品をシェア

pagetop