生贄投票
深夜だけど美奈都は時間を気にせず、涼花に電話をかけた。


『ミナト、来てないぞ。生贄投票が来てない!』


涼花の声が弾んでいる。


「うん。来てないよ! 間違いないよね? 前回のときの結果発表で次の投票は4月1日って書いてあったよね?」


『間違いないと思う。あっ、ちょっと待って一応聞いてみるから』


「聞くって誰に?」


『ああ、間違いない。エイプリルフールの日だって思ったんだから』


後ろで山岡俊明の声が聞こえた。


「ちょっと涼花! こんな時間に山岡くんと一緒にいるの?」


『ああ、まぁ、その……一人でいるのが怖かったもんだから……』


「いや、べつに良いんだけどね。じゃあお邪魔しちゃ悪いから切るよ。おやすみ」


『あっ、ミナ』


涼花がまだ喋っている途中だったのに、美奈都は電話を切った。

< 791 / 827 >

この作品をシェア

pagetop