生贄投票
25年後   東京


放課後、自宅に帰ってきた竹本美沙希は、駐車場に赤いスポーツカーが止まっているのを見つけた。


ママの親友の山岡涼花の車だ。


超有名ファッションデザイナーの涼花には息子が二人いるけれど、娘がいないので、美沙希のことを自分の娘のように可愛がってくれ、いつも美沙希の為にと言って、新しいデザインの服を誕生日にくれたりするから、友達に羨ましがられて、美沙希はいつも鼻が高かった。


玄関ドアを開けて中に入る。


「ただいまぁ~」


「おお、ミサキ帰ったか、待ってたぞ。久しぶりだなぁ」


涼花は嬉しそうに笑う。


「やだなぁ涼ちゃん。先月も会ったじゃん」


オバちゃんというと怒るので、美沙希は涼花のことを涼ちゃんと呼んでいた。


「そっか? でも、久しぶりに見ると、大きくなったよなぁ」


涼花は相変わらず嬉しそうだ。


「えっ、そうかな? 全然伸びてないと思うけど」


美沙希は手の平を頭の上で水平にして、その手を見上げた。
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