スクール・キラー お嬢様の秘密
それからもあたしは。
授業中指名されて前に行く度、クラスメイトに足を引っかけられて。
クラス中に笑いが響いて。
「大丈夫か」と言いながら1番笑う先生に、ムカついたり。
答えられて当たり前の問題を正解すれば、休み時間に妙子に
「調子乗ってんじゃねぇよ」
と言われて。
体育の時間になったらなったで。
体操着が見当たらなくて、昔使われていた体操着を使う羽目になった。
今授業で使う体操着は、白い生地に、襟や袖の辺りに紺色のラインがはいった、ごく普通のどこにでもありそうな体操着だ。
だけど、コレになる前の体操着は、かなりダサい。
白い生地なのは変わりないんだけど、ラインの色が紺ではなく、ピンクだ。
ハーフパンツも、今は紺色に赤い文字で名前のはいったシンプルなものだけど。
前のデザインのハーフパンツは、ラインと同じピンク一色の、ダサいもの。
皆が白い生地に紺色ラインに紺色ハーフパンツを着て体育をしている中、あたしだけピンクの体操着を着る。
本当は家に仕えている執事やメイドに言えば、持ってきてもらえるんだろうけど。
受け取っている姿を誰かに見られたら、後々面倒なことになるから。
仕方なく、他の人から浮いて、あたしは体育を行(おこな)った。
体操着がこうして隠されるのは今日だけじゃなくて。
入学してから今まで、妙子や里沙に何度も隠されて、その度に先生に言うから。
先生はあたしが久我山の人間だと知っているから、強くは言わないけど。
「そろそろどうにかしなさい?久我山さん。
あなただって、毎回隠されちゃ嫌でしょ?」
なんて、うわべだけの言葉を並べていた。