スクール・キラー お嬢様の秘密
「推理劇、そろそろ始める?」
「美海、本当にそれを突き通すつもり?」
「当たり前じゃない!
…さて、出てきてもらおうじゃないの?
“スクール・キラー”、さん?」
沈黙が、流れる。
誰か現れる気配は全くない。
「“スクール・キラー”じゃ駄目かしら?
アナタがいること、わかっているのよ?」
不敵な笑みを浮かべる美海だけど。
脳内には、屋上に上がってくる時からずっと、思い出と言う名の映像が流れ続けていた。
…本当はね、信じたくないの。
美海はそればかり考えていた。
「出てきてよ…。
あたしが久我山の令嬢だって、知っているんでしょ?
あたしだって知っているよ。
アナタが、“スクール・キラー”ってこと。
里沙のお兄さんだってこともね。
…父親は違うけど」
彼女は必死に、声が震えそうになるのをこらえる。
ずっとずっと、信じていた。
彼だけが、美海の、味方だったのに。
…こんな裏切り、なしだよ…。
出来ることなら美海は、その場で泣き叫びたかった。