スクール・キラー お嬢様の秘密







美海のそんなはち切れそうな心の声を知らず、彼は出て来ない。

この場にいるはずなのに。





「名前を言わないと、駄目かしら?」




言いたくない。

そんな矛盾が生まれっぱなしだ。





「真宮…美弦、くん?」




名前を言った途端、一気に思い出が溢れてくる。

蘇ってくる、最初、初めて出会った日のこと。

美海は思う。

…ああ、きっとアレで、あたしは一目惚れしたんだと。





『真宮…美弦、くんって言うの?』




確認するように言う、地味な少女。

正反対の、無邪気な笑顔を向ける、彼。




『そうだよ。
女みたいな名前でしょ?

キミの名前はなんて言うの?』


『久我…未美子…』

『ミミコちゃんか。
じゃあ…ミミちゃん、だね』

『ミミちゃん…?
…フフッ、ウサギみたいね』








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