スクール・キラー お嬢様の秘密






いくら“スクール・キラー”を見つけるためとは言え、毎回辛かった。

いじめられることが。

しょうがない、と腹を括っていたけど。

哀しい気持ちは、頭とは関係なく出て来てしまうのだ。




憂鬱だろう、と信じていた高校生活。

そんな気分を覆してくれた、彼の笑顔。

美海も自然に笑えたのを、今でも覚えてる。








「……バレてたんだぁ…」






澄んだ青空に似合う、よく通る声。

だけどその声は、美海が知る“彼”の声じゃない。

低くて、冷たくて、そう…氷のように冷たくて。

今にも流れ落ちてしまいそうな涙を、必死にこらえた。





屋上にある、給水塔。

その裏から出てくる、アイドルのように整った顔立ち。

モデル並みにすらりとした手足。

…彼は不敵に微笑むと、こちらへ近づき、美海の前で丁寧にお辞儀をした。






「初めまして、久我山美海サン?

僕が…いや、俺が、“スクール・キラー”です」






信じたくなかった、真実が。

今、青空の下、明かされていく。






残酷な、

哀しい、真実が。










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