スクール・キラー お嬢様の秘密
“スクール・キラー”…真宮美弦は、笑みを浮かべたまま、異父妹(いもうと)の方を向いた。
「駄目だよォりーちゃん。
何でペラペラ話しちゃうかなぁ?」
「りーちゃんなんて呼ばないで。
リサは、アンタと兄妹になんてなりたくなかった」
父親から、母に会えると聞かされた時、里沙は嬉しかった。
頑なに、自分の産みの母親の存在を隠し続けてきた父。
周りの子が、母と共に買い物へ行ったと言う話を聞くたび、里沙は寂しかった。
憧れの母が、ようやく自分の前に現れてくれる。
例え自分が、愛人と言う関係によって産まれたとしても。
初めて母に会った。
最初はやっぱり慣れなかった。
里沙は父親似で、母親とは全くと言って良いほど似ていなかった。
「本当にあの人はリサの母親?」と父に聞いてしまったくらいだ。
苦笑交じりに父は、里沙と母のDNA検査をした。
結果により、自分たちが血の繋がった親子だと知れて、やっと里沙は母に慣れてきた。
ぎこちない関係だった母も、里沙を実の娘として優しくしてくれた。
今では放任されているけど、里沙と母は親子だった。
里沙は今でも思う。
どんな経緯で自分が産まれたとしても、父と母の子どもで良かったと。
初めて憧れていた“家族”を、里沙は手に入れることが出来た。
里沙にとって、“家族”を手に入れることが出来たのは、今でも嬉しいと思う。
だけどメリットには、デメリットが付きもので。
目の前で微笑む、父の違う兄。
彼こそが、里沙にとってのデメリットだった。