スクール・キラー お嬢様の秘密







“スクール・キラー”…真宮美弦は、笑みを浮かべたまま、異父妹(いもうと)の方を向いた。




「駄目だよォりーちゃん。
何でペラペラ話しちゃうかなぁ?」

「りーちゃんなんて呼ばないで。
リサは、アンタと兄妹になんてなりたくなかった」




父親から、母に会えると聞かされた時、里沙は嬉しかった。

頑なに、自分の産みの母親の存在を隠し続けてきた父。

周りの子が、母と共に買い物へ行ったと言う話を聞くたび、里沙は寂しかった。

憧れの母が、ようやく自分の前に現れてくれる。

例え自分が、愛人と言う関係によって産まれたとしても。




初めて母に会った。

最初はやっぱり慣れなかった。

里沙は父親似で、母親とは全くと言って良いほど似ていなかった。

「本当にあの人はリサの母親?」と父に聞いてしまったくらいだ。

苦笑交じりに父は、里沙と母のDNA検査をした。

結果により、自分たちが血の繋がった親子だと知れて、やっと里沙は母に慣れてきた。

ぎこちない関係だった母も、里沙を実の娘として優しくしてくれた。

今では放任されているけど、里沙と母は親子だった。




里沙は今でも思う。

どんな経緯で自分が産まれたとしても、父と母の子どもで良かったと。

初めて憧れていた“家族”を、里沙は手に入れることが出来た。




里沙にとって、“家族”を手に入れることが出来たのは、今でも嬉しいと思う。

だけどメリットには、デメリットが付きもので。




目の前で微笑む、父の違う兄。

彼こそが、里沙にとってのデメリットだった。







< 112 / 225 >

この作品をシェア

pagetop