スクール・キラー お嬢様の秘密





だけど、俺の目は我慢出来なかったようで。

帰る途中会った先生に、「泣いた?」と聞かれてしまった。

…泣いたんだ、俺は。

やっぱり、耐えきれなかったんだ。




俺にとって、彼女は初恋で、初めて大事にしたいと思ったから。

例え俺のしたことが許されないコトでも。




だけど、何で。

何故、俺の恋した女子は、久我山の令嬢だったんだよ。




“スクール・キラー”の正体を掴もうとしている久我山財閥は、前々から調べていた。

ホームページも、欠かさず確認していた。

そんな日課の中見つけた、久我山財閥令嬢で次期社長の顔写真と名前。

完璧に化粧を施した、久我山美海と言う名の、俺と同い年の子。

初めて写真を見た時、直感した。

久我未美子は俺の好きな相手だ。

彼女が長い前髪や髪を結び、化粧をしたらどうなるかなんて、わかった。





そして俺は、大きなショックを受けた。

好きだと、守りたいと思っていた彼女の身分に。

俺は“スクール・キラー”で、彼女はそれを追う久我山財閥令嬢。

―――釣り合うはずがなかった。





簡単に言えば、警察と泥棒だ。

そんな、金持ちと貧乏の身分差よりも厳しい、“身分差”。

絶対に叶うことのない、俺の初恋。





机に取りつけられた電気と、パソコンの明りだけが照らす部屋の中。

―――俺は声を殺して泣いた。







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