スクール・キラー お嬢様の秘密







☆NOside☆





美海が急いで村瀬の運転する車に乗りこみ、美弦のいる海へ向かっている時。

美弦は浜辺に沿って造られた階段に腰かけていた。






『ねぇ、美弦。

今の季節、海水浴客いないと思うのよ。
海へ行くのは、絶好の機会だと思わない?

だからね、美弦。
海へ行ってきてよ。
この世界に、本当に生きている価値がないと思うのならね。

ワタシは止めはしないカラ』






ぼんやり、誰も船もいない海を見つめながら、美弦は昨日母に言われたことを思い出していた。

イタズラっ子のように、無邪気な笑みを浮かべながら、美弦へ自殺を薦める母。

その笑顔は、かつて美弦と母が、美弦が小学生の頃住んでいたアパートで母に殴られる時に母が浮かべていた笑顔だ。

母が美弦の首を絞めながら浮かべる笑顔と、一緒だった。






美弦は何をされても、母のことを好きでいた。

母が母を傷つける父と離婚することを聞いた時も、内心では喜んでいた。

父はずっと美弦に、“父と母は仲良くしているだけだ”と嘘をついていた。

自分に嘘ばかりつく父を、美弦はずっと嫌っていた。

だから、母が浮気していると知った時、美弦はやっと父と離れられると喜んだ。




両親と住んでいるとき、母は自分に優しかったから。

父が酒を飲んで酔い、母と美弦の区別がつかなくなった時、母は美弦を庇ってあげていた。

母と2人暮らしになったとしても、美弦は上手くやっていけると信じていた。








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