スクール・キラー お嬢様の秘密






それなのに。

ようやく美弦の願いが叶い、父と離れることが出来ると思ったのに。

母と2人暮らしが出来ると思っていたのに。





母は変わった。

美弦へ対して暴力を働くようになった。

家だけでなく、学校でも暴力にあった。




美弦は全てに絶望した。

嫌だと思った。

こんな世界嫌だと思った。




高校に入学してやっと、美弦には大切にしたいと思える彼女が出来たのに。

美弦の過去を知る佐山妙子が、彼女に美弦の過去を明かしてしまった。

今度こそ、上手くやって行けると信じていたのに。





「…神様って、意地悪だな……」




海の波の音だけが響く、静かな空間に、美弦の呟きが交じる。

2つの双眸からは、涙が流れていた。





やっぱり俺は、好きになんてなっちゃいけなかったんだ。

信じても愛しても、裏切られるのだから。

知っていたつもりなのに。

どうしてまた、彼女を信じたり愛してしまったのだろうか?





「…………」





もう、幕を閉じよう。

自分が主役の、人生の幕を。







「…じゃあね、未美子ちゃん」






俺が最後に愛して、

最後に大事だと思った人。





幸せに、なれよ。








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