スクール・キラー お嬢様の秘密







自分は尻餅をついているので、下から見上げる形になる。

真っ白な、短い丈のワンピースを着た久我山美海が、裾を強く握りしめて美弦を見降ろしていた。





「…な、何しに来たんだよ、貴様」





思わず乱暴言葉で、低い声になる。

少し、彼女の肩がピクッと一瞬上下した。

美弦は立ち上がり、美海を睨みつけながら一気に話した。





「何しに来たんだよ、お前。
いきなり呼びやがって、俺を脅すつもりか?

俺のこと思い切りぶっ叩いたくせに、俺にまだ何か用か?」




わざと大きく舌打ちをして、彼女を睨みつける。

だけど美海は、その睨みに負けていなかった。

美海は心のどこかでわかっていた。

―――この睨みも声も言葉も、美弦の“タテマエ”だと。





「用があるに決まっているじゃないの」

「てかお前、この場所何でわかったんだよ」

「美弦のお母さんに聞いた。
…あ、里沙のお母さんでもあるのか」

「…お前、あの女に会ったのか?」





美弦は思わず、聞き返す。






早く逃げたいと思っていた。

壊れてしまいそうだったから。

俺が彼女へ向ける、“強気”の仮面が。







< 201 / 225 >

この作品をシェア

pagetop