スクール・キラー お嬢様の秘密






美弦は、逸らすことが出来なかった。

途中で言葉を挟むことなど出来なかった。




真っ直ぐだったから。

美海の瞳(め)が、真っ直ぐ美弦の瞳(め)を見つめていたから。

澄んだ、真っ直ぐなふたつ目に見つめられ、美弦は何も言えなくなった。





「美弦。
あたしは、美弦が…好きです。
大好き、なんです……」





やっと真っ赤になって、美海は美弦から逸らした。

真っ赤になった頬を両手で挟むよう押さえ、美海はしどろもどろに美弦への想いを口にする。





「大好き」

「…」

「大好きなのぉ…」

「……」

「美弦ぅ…」

「………」

「大好きだよっ……きゃっ!?」





いきなり抱き寄せられ、美海は、かなり高い悲鳴を上げた。

目の前には、美海より5センチほど背の高い美弦の胸。

美海の背中には、美海の体を強く抱きしめる美弦の両腕。





美海が美弦に抱きしめられていることを知るのに、

―――時間は、いらなかった……。








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