スクール・キラー お嬢様の秘密
ふう、と1回溜息をついた美弦は、再び話し出す。
「あの時初めて、自分が過去にした過ちに気が付いた。
何故いじめなんてしたんだろうって。
簡単に人の人生を狂わせること、わかっていたのにって。
もう知っているだろうけど…僕、小学生の頃いじめられていたんだ。
かなり酷くて、毎日嫌だった。
いじめられる辛さは、わかっていたつもりだった。
だけど、僕は自分の欲求を満たしたいがあまり、中学で“スクール・キラー”と異名を取るまでいじめを行った。
その時は罪悪感なんてなかった。
だけど佐山さんに全てを明かされた時、何故過去にあんなことしたんだろうって気が付いた。
今更悔やんでも何もならないって言うのはわかっているけど、ここ最近はずっと悔やんでいたんだよ、僕。
僕が過去にあんなことしなければ、僕は堂々と、未美子ちゃんに好きだって言えていたのに」
美弦は体操座りでもするかのように、両足を自分の腕で抱えた。
美海はそっと、その袖を握った。
「僕は、自分が久我山を初めとする財閥が活動している、『いじめ防止委員会』が“スクール・キラー”を追っていることに気が付いてた。
頻繁にホームページを閲覧してた。
未美子ちゃんの写真を見て、驚いたよ。
すぐにわかったよ、好きな子の写真だったから。
未美子ちゃんはやっぱり、今の方が似合うよ」
力なく、美海の方を見て美弦は笑う。
今日は休日だったため、美海は学校へ行くときの地味子ではない。
長い黒髪を下で2つに結び、ウィッグをして長くしていた前髪も、ピンク色のヘアピンで止めていた。
「ありがと……」
美海ははにかんだ。