スクール・キラー お嬢様の秘密
あたしは会わなかったけど、お父様は会ったらしい。
美弦の、本当の父親に。
美弦のお母さんと離婚した後、付き合った女性と結婚したもののすぐに離婚し、現在は独り身でサラリーマンをしているらしい。
『キミのお父さんに会ったんだ。実のな』
『…生きて、いたんですか』
『ああ。
キミはご両親の離婚後、会うことしなかったのか?』
『…僕は母を傷つける父を、嫌っていましたから』
さっきまでハキハキ答えていた美弦だけど。
トーンが少し低くなった。
幼い頃の美弦は、お母さんを大事に思っていたんだ。
そんなお母さんからあんなことされるなんて、辛かっただろうな…。
あたしは膝の上に置いてある美弦の手に、自分の手を重ねた。
大丈夫だよ、という意味を込めて。
『元気にしていたぞ。
現在はかつてキミが住んでいた家に住んでいるらしい。
美弦が元気だと伝えると、喜んでいたぞ』
『…そうです、か』
『キミの過去、全て調べさせてもらった。
美海は久我山の娘だからな。
その相手となれば、相応の人間じゃないと困る。
…悪かったな、勝手に許可もなく調べて』
『…いえ、大丈夫です。
気にしないでください。
もう…過ぎたことですから』
お父様を見て弱々しく笑った美弦が、あたしの手を握る。
緊張しているのか、それとも色々思い出したのか、熱かった。