スクール・キラー お嬢様の秘密







『委員会を立ち上げた時、わたしはキミを嫌っていた。
何故あんな事件を起こしたのだ、と怒ったものだ』

『……』

『だが、キミの過去を知れば、そんなに強く責めることなど出来なくなってしまった』

『……』

『美海が言っていたが。
今キミは、何もしていないんだな?
更生、しているんだな?』

『はい』

『美海を、大事に出来るんだな?』

『はい!』

『美海と付き合い、いずれ結婚するとなると、キミには久我山を背負って行く立場になってもらうことになる。
名字も…久我山姓になってもらうこととなるだろう』

『構いません。
僕はずっとこの名字、好きじゃなかったんです。
変えたいと、ずっと思っていましたから』

『そういえばずっと聞きたかったんだがな。
キミのお母さんは、再婚して橘姓だろう?
キミも今は橘家に住んでいて、義理の父親も父親の違う妹も、橘姓だと聞く。
何故、キミだけ橘姓じゃないのだ?』





美弦は一瞬だけ俯くと、すぐに顔を上げた。





『義理の父と妹が橘姓なのは、義理の父が橘姓だからです。
結婚した母も、橘姓になりました。

でも僕は、橘家の人間だと、認められていません。
橘家の主である父が、僕を居候だと言うのです。

元々通う高校も、今の高校ではありませんでした。
家から近い、男子校に通うと決めていました。

ですが男子校で、妹が通えないことを知った義父(ちち)は、僕を今の高校へ妹と通うことを命じられたのです。
一緒の高校に通い、橘家のお嬢様である妹を守るために。

橘家の居候なので、僕は実の父の名字…真宮、なのです』






さっきと一緒でハキハキ言う美弦だけど。

そのハキハキさが、何だか哀しく思えた。







< 214 / 225 >

この作品をシェア

pagetop