スクール・キラー お嬢様の秘密
『何故キミの実のお父さんは、キミを引き取ろうとしなかったのだ?』
『離婚当初は母も僕に優しくて。
どっちが僕を引き取るか決めるとき、母が自分で引き取ると言ってくれたんです。
僕自身も母についていきたくて、それを受け入れました』
お父様はそこまで聞いて、黙り込んだ。
リビング内に、沈黙が流れる。
あたしは思わず、美弦に抱きついた。
『美海ちゃんっ!?』
『美弦~!
これからはあたしが、美弦を好きでいるからね!
美弦はもう、1人ぼっちじゃないからね!』
『…ありがと、美海ちゃん』
ギュッとあたしを抱きしめ返した美弦は、泣いているように思えた。
だけど離れた時、美弦の目に涙は光っていなかった。
『…美弦』
『はいっ!』
『美海を、よろしく頼むぞ』
『……はいっ!』
両親が笑顔になり、あたしたちは顔を見合わせた。
『これからもよろしくね、美海』
『な、名前呼びっ!?
…こ、こちらこそよろしくね。美弦!』
ちなみにあたしは、気が付いたら名前呼びだった。
美弦のいる海へ行くとき、心の中で真宮くんと呼んでいたら、長くて鬱陶しくなり、呼んでいるうちに美弦へ変化してしまった。
今では何の違和感もなく、お互い名前呼びをしている。
そういえばお父様、名字が久我山になっても良いのかって聞いた。
それは美弦が久我山に婿養子に入ることを言っていて、それってすなわち結婚だよね!?
あたしは美弦と笑い合う時、それを思い出し、真っ赤になってしまった。
それを見た美弦に『トマトみたい』と笑われ、ますます恥ずかしくなった。