スクール・キラー お嬢様の秘密
その後あたしたちは実家を出て、村瀬の運転する車である場所へ向かった。
美弦には何度も行き先を聞かれたけど、答えなかった。
素直に答えてしまえば、絶対に断られると思ったから。
「黙ってついてきて」とお願いした。
…少し怒ったように聞こえたらしく、美弦は聞かなくなってしまったけど。
『ここ……』
到着した場所を見て、美弦はやっぱり顔をしかめていた。
端正な顔立ちが歪む姿は、勿体ないと思った。
『美弦の所へ行く前に、ここに来たのよ、あたし』
『そうだったんだ……』
橘、と彫られた高級そうな表札の下のインターフォンを押した。
数分ぐらい誰も出なかった。
あたしが来たこと、わかっているのだろうか?
『……来たのね』
ゾンビのように出てきたのは、真っ赤な服を身に纏った美人さん。
まぁなんだかげっそりしているように見えた。
美人な顔も歪むと大変だ。
『今、里沙とお父さんには出掛けてもらっているわ…。
どうぞ……』
『お、お邪魔します』
美弦の元へ行く前と様子がガラリと変わっていて、かなり驚いた。
だけどあたしは、立ち止まる美弦の手を引いて、家の中に入って行った。
まぁここは美弦の家だから、美弦は堂々と入っても良いと思うんだけどねぇ。