スクール・キラー お嬢様の秘密
あたしは真宮くんに下ろしてもらい、1人で職員室へ向かう。
真宮くんは担任の席までついて行くと言っていたけど。
断っておいた。
「先生、良いですか?」
「く、久我さん…!」
席で作業をしていた先生の背中に声をかけると、先生は急いで立ち上がって、職員室の隣にある校長室へ続く扉を開けた。
同じく席で作業をしていた校長先生は、入ってきたあたしと担任を見て、驚いた顔で見つめてきた。
「ど、どうされたのかね、久我さん」
担任も校長も、この学校全員の先生も、あたしが久我山の令嬢だと知っている。
そんなあたしがやってきたのだ。
ただことだとは思わないのだろう。
「下駄箱に仕舞って置いたはずの上履きがありませんの。
代わりの上履きはありますか?」
「は、はい!
しょ、少々お待ちください!」
校長が慌ててバタバタと出て行く。
…こういう態度を、真宮くんに見せるわけにはいかないの。
まだ。
まだ駄目。
まだあたしが久我山の令嬢だと言ってはいけないの。
まだ…
目的を達成していないから……。