スクール・キラー お嬢様の秘密








「やっぱりカッターはよく切れるわね」

「そうねぇ……」





カッターで作った“作品”を見て、私たちはほくそ笑む。

さっきまで一緒にいたはずの取り巻きたちは、いなくなっていた。

…彼女たちは私の取り巻きのくせに、“作業”には決して参加しない。

一緒になって、ターゲットを見て笑うくせに。

…偽善者のつもりなのかしら?

笑うのは、立派ないじめなのヨ……?





「ねぇ!」




嬉しそうに、里沙が私の肩を叩く。

…やっぱり里沙は、大事な親友だ。

こうして一緒に、“作業”が出来るし、何より知っている。

ターゲットを、ターゲットにした理由も。





「次はどんな文字を刻めば良いかしらぁ?」

「そうねぇ…。
学校に来たくないって思えるほどのことを書きたいわね」

「じゃあ、ストレートに、“学校に来るな”?」

「ストレートなのも良いわね。
回りくどいと、何言いたいのかわからないものね」




ターゲットと、アイツが来るまでの、密かな楽しみ。

こうやって里沙と笑い合える時間が、楽しい。





毎日、疲れるの。

うわべだけの人間関係に。



だけど、里沙は違う。

こうやって、黒い秘密を共有出来る。




だから、思うのだ。

―――里沙は、親友だと……。








< 40 / 225 >

この作品をシェア

pagetop