スクール・キラー お嬢様の秘密
「やっぱりカッターはよく切れるわね」
「そうねぇ……」
カッターで作った“作品”を見て、私たちはほくそ笑む。
さっきまで一緒にいたはずの取り巻きたちは、いなくなっていた。
…彼女たちは私の取り巻きのくせに、“作業”には決して参加しない。
一緒になって、ターゲットを見て笑うくせに。
…偽善者のつもりなのかしら?
笑うのは、立派ないじめなのヨ……?
「ねぇ!」
嬉しそうに、里沙が私の肩を叩く。
…やっぱり里沙は、大事な親友だ。
こうして一緒に、“作業”が出来るし、何より知っている。
ターゲットを、ターゲットにした理由も。
「次はどんな文字を刻めば良いかしらぁ?」
「そうねぇ…。
学校に来たくないって思えるほどのことを書きたいわね」
「じゃあ、ストレートに、“学校に来るな”?」
「ストレートなのも良いわね。
回りくどいと、何言いたいのかわからないものね」
ターゲットと、アイツが来るまでの、密かな楽しみ。
こうやって里沙と笑い合える時間が、楽しい。
毎日、疲れるの。
うわべだけの人間関係に。
だけど、里沙は違う。
こうやって、黒い秘密を共有出来る。
だから、思うのだ。
―――里沙は、親友だと……。