スクール・キラー お嬢様の秘密
「……折角、妙子が忠告してあげたのにぃ………」
聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声量で、呟くように里沙が言う。
忠告?
真宮くんと話すなってことが、忠告?
「…そんな忠告はイラナイわ」
「……聞こえていたのねぇ」
意味ありげに、ふっと微笑む里沙。
…何か、隠してる?
直感で、そう思った。
……何を?
隠している、の?
「里沙、余計なことは言わないで。
…確かにコレは忠告よ。
真宮美弦と話さなければ、いじめはしないっていうね。
素直に久我さんが忠告を受け入れたのなら、いじめはしないのよ」
勝ち誇ったかのように笑う妙子。
あたしは再び真っ直ぐ、妙子を見つめた。
「忠告してくれてありがとう。
だけど、あたしにとってその忠告は無意味よ。
いじめを止めてほしいから、真宮くんと話すななんて、そんな忠告聞くわけないでしょ。
好きなだけいじめなさい。
あたしは逃げも隠れも、白旗も振らないから」
あたしは、妙子と里沙の間を通り、鞄を置いてきた教室へと向かった。
何があっても、あたしは負けないの。
真宮くんが、いる限り……。